ウクライナ戦争に関する本を4冊読み終わりました。
感想をまとめて書きます。
「ロシア・ウクライナ戦争」(東京堂出版)と「ロシア・ウクライナ戦争と歴史学」(大月書店)では、ウクライナの歴史を丁寧に解説しています。
過去何世紀にもわたり、ウクライナという地方(あえて「国」と言わず「地方」と呼びます)がさまざまな帝国に占領されたり分割されたりしてきたことがわかります。
また、宗教的にもこの地域は複雑な経過を辿っているようです。
このようなウクライナの歴史を見ると、単一民族としての民族主義が育みにくい土壌があるようですね。
「プーチンの10年戦争」(東京堂出版)では、1999年以降のプーチンの論文と演説の計7本について、佐藤優氏が要点を解説していきます。
先の2冊の内容を頭に入れてから読むと、プーチンがロシアを今後どのような国家にしようとしているかが見えてきます。
プーチンはソ連時代以前の「ロシア」の復活を願っているように思います。プーチンの考えではウクライナは独立国家ではなく「ロシア」の一部なのでしょう。
最後に読んだ「問題はロシアより、むしろアメリカだ」(朝日新書)では、エマニュエル・トッドが今後のウクライナ戦争の行方を予測しています。
もっとも、トッド自身が指摘するように、正確な情報が少なくて今後を予測するのは相当困難なようです。
ただ、興味深いのは、ロシアが想定以上に踏ん張っており、西側諸国が考えていたよりもロシアの国力が相当あり、中国やグローバルサウスがロシア寄りであることなどから、トッドはロシアが崩壊するよりも先にアメリカが崩壊する可能性に言及していることです。
4冊に共通して言えることは、西側の報道だけに接するのではなく、ロシア側の視点(言い分)も見なければこの戦争の全体像は見えないということだと思います。