「情プラ法」が本年4月1日に施行されました。
正式名称は「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律」といい、通称が「情報流通プラットフォーム対処法」といい、その略称が「情プラ法」です。
どういう法律かということを一言で言いますと、SNSなどでの誹謗中傷などの対策のための法律です。
ネットでの誹謗中傷対策としては、「プロバイダ責任制限法」というのが以前からありましたが、この法律はかなり緩く、プロバイダの対応が十分とはいえない状況でした。
そのため、プロバイダ責任制限法をベースにし、SNSなどの運営企業に様々な義務を課す規定を追加して、名前を新しくしたのが「情プラ法」です。
今回は、従来の法律に追加された部分を中心に説明したいと思います。
まず、義務が課せられるのは一定規模以上の事業者に限られます。基準としては、月間平均アクティブユーザー数が1000万人を超える事業が対象となり、Instagram、X、Facebook、LINE、TikTok、YouTubeなどの事業者が対象になると言われています。
どのような義務が課せられるかというと、主なものとしては、まず情報の削除基準を事業者自身で定めて公表してください、ということが一つです。
重要な点は、政府が基準を作るのではなく、事業者自身が基準を作るということです。政府が基準を作ると政府が言論を弾圧することも可能になり得るので、こういう形になっています。
次に、これまでは「窓口が分からない」や、「通報しても無視される」や、「理由も分からずに削除された」などの批判がありました。
そこで、新しい法律では、通報窓口を明確にし、通報する方法を公表する義務が定められました。
そして、通報があれば7日以内に通報した人に対し、結果がどうなったかを通知しなければなりません。結果というのは、削除をしたのかしなかったのか、削除をしなかったのであれば、その理由も伝えなければなりません。
また、投稿を削除した場合には、投稿をした人に対し、削除したことと、その理由(どの基準に違反したのか)を通知しなければなりません。
事業者は通報から7日以内に、投稿を削除するかを判断し、通知しなければいけませんので、かなり大変だと思います。
そして、かなり大変になることを想定し、削除するかどうかを判断するための専門スタッフを配置することも義務づけられました。何人配置するかについては事業の規模により決まります。
まだ、始まったばかりですので、どのような運用になるのか、分からない点も多いのですが、少しでもSNSでの誹謗中傷が減ることを願います。