(事案を簡略化して説明します。)
H1(妻)とH2(夫)には実子がいなかったため、昭和38年にAと養子縁組を行いました。
H1,H2は昭和49年までAと同居していましたが、昭和49年以降はB1,B2夫婦と同居するようになりました。
なお、AはH1,H2と別居後も交流を続けていました。
昭和57年にH1が死亡し、昭和59年にH2が死亡しました。
B1,B2は、自宅の仏壇内にH1とH2の遺骨を保管していました。
Aは自己の費用でH家の墓を建て直して、所有権に基づき、B1,B2に対し、H1,H2の遺骨の返還を請求しました。
これに対し、B1,B2は、H2から祭祀承継者として指定されたと主張しました。
裁判所:最高裁判所第三小法廷
裁判年月日:平成元年7月18日
遺骨は所有権の対象となるか、また、遺骨は相続により相続人に帰属するのか、あるいは、祭祀承継者に帰属するのか、等が本件の争点となりました。
最高裁は「原審の適法に確定した事実関係のもとにおいて、本件遺骨は慣習に従って祭祀を主宰すべき者である被上告人(A)に帰属したものとした原審の判断は、正当として是認することができ」ると判示して、遺骨はAに帰属するとの判断を示しました。
(B1,B2はH2から祭祀承継者として指定されたと主張していましたが、一審、二審とも、祭祀承継者の指定を認めませんでした。)