(事案を簡略化して説明します。)
被相続人Hは昭和62年7月6日に死亡しました。
Hの法定相続人は、Hの妻A、Hの子B、Cでした。
Hは、生前、昭和59年6月4日付公正証書遺言を作成していました(本件遺言)。
本件遺言の内容は、被相続人の財産全部を包括してBに遺贈する(本件遺贈)というものでした。
Hの死後、CはBに対して遺留分減殺請求を行いました。
これに対して、Bは、自分はHの稼業を手伝ったので、本件遺贈のうち、少なくとも6割については寄与分が認められるので、この部分については遺留分減殺請求権を行使することはできない、と主張しました。
裁判所:東京高等裁判所
裁判年月日:平成3年7月30日
遺留分の請求に対して抗弁として寄与分を主張できるかが本件の争点です。
東京高裁は「寄与分は、共同相続人間の協議により、協議が調わないとき又は協議をすることができないときは家庭裁判所の審判により定められるものであり、遺留分減殺請求訴訟において、抗弁として主張することは許されないと解するのが相当である。」と述べて、Bの寄与分の主張を排斥しました。