少年法について

少年法について

今回は,少年法についてです。

少年による殺人事件などが起きると,必ず少年法を見直すべきだという議論が起こります。

多くの場合,「少年法はけしからん。」という声を聞きます。

しかし,そういう人と話しをしてみると,実は少年法をよくご存じでない場合がほとんどです。

例えば,少年は少年院に入ることはあっても刑務所には入らないと思っている方がおられます。また,少年は死刑にならないと思っている方もおられます。しかし,これらは誤解です。

まず,少年法の沿革ですが,日本の少年法はアメリカ法を参考にして作られました。

アメリカでは,少年の犯罪は貧困や人種差別が背景にあるという理解が広まり,成人と異なる体系を作りました。

貧困などの環境のため犯罪に走った少年に対して,大人と同じように劣悪な環境の刑務所に送るのではなく,教育を与えて矯正させようとしたのです。

日本の現行の少年法では,犯罪を犯した少年については,原則として家庭裁判所で審理することとなっています。これはアメリカの少年裁判所を参考にしたものです。

ただ単に罪の重さを審理するだけではなく,少年が育ってきた環境などを専門家が調査をして,その少年にふさわしい教育とは何かを考えるのです。

家庭裁判所で審理された結果,保護観察や少年院送致などの処分になることがあります。これらは比較的知られています。

しかし,すべてがそうではありません。通常の刑事手続によって裁判が行われて刑務所に行くことも死刑になることもあります。

少年法では,犯行時に18歳未満であれば死刑を科すことができないとされています(51条1項)。逆に言うと,犯罪時に18歳や19歳であれば死刑を科すことができるのです。

実際に,古い話では「長山則夫事件」,最近では「光市母子殺害事件」などで犯行時少年だった人に死刑判決が確定しています。

また,14歳以上であれば無期懲役を科することもできます(51条2項)。

大きな事件が起きると,「少年法を改正するべきだ。厳罰化するべきだ。」という声が出ますが,現行の少年法でも,死刑や無期懲役に処することはできるのです。

そうはいっても,「やはり軽すぎる」という方もおられるでしょう。

この問題は難しすぎて,私がコメントできるようなものではありませんが,参考までにアメリカの少年法厳罰化の話を紹介しておきます。

1970年代後半から,アメリカの各州で少年法の厳罰化が進められましたが,1980年代,90年代と少年犯罪は人口比で大幅に増大しています。

この結果を見ると,厳罰化だけでは解決できない難しい問題であることが分かるのではないでしょうか。

相続問題のことならお任せくださいLeave the inheritance matters to us.

ベンナビ相続はこちらから お問い合わせはこちら