こんにちは。宝塚花のみち法律事務所の弁護士木野達夫です。
前回、死後事務委任契約について書きましたが、今回のテーマは「死後事務委任契約を解除することができるか」です。
死後事務委任契約については、そもそも、委任者の死亡を委任の終了事由と定める民法653条1号との関係で、委任者の死亡後も効力を有するのかという論点があります。
この論点に関して、最高裁平成4年9月22日判決は、民法653条が任意規定であることを前提に「自己の死後の事務を含めた法律行為等の委任契約がAとYとの間に成立したとの原審の認定は、当然に、委任者Aの死亡によっても右契約を終了させない旨の合意を包含する趣旨のものというべく」として、死後事務委任契約は委任者の死亡により終了しないとの判断を示しています。
次に、委任者の死亡により当然に終了しないとしても「委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる」と定める民法651条の規定により、委任者の地位を承継した相続人が契約を任意解除できるかが問題となります。
この点、東京高裁平成21年12月21日判決は「自己の死亡後に契約に従って事務が履行されることを想定して契約を締結しているのであるから、・・(中略)・・特段の事情がない限り、委任者の地位の承継者が委任契約を解除して終了させることを許さない合意をも包含する趣旨と関する事が相当である」として、相続人による任意解除を否定しました。
しかし、この判例については批判も多く、今後の裁判所の判断について注意深く見守る必要があると思います。
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宝塚花のみち法律事務所 弁護士木野達夫