ひき逃げで逮捕

ひき逃げで逮捕

最近,有名人がひき逃げで逮捕されるというニュースが続きました。

先月(10月29日)には,若手の人気俳優がひき逃げ容疑で逮捕され,今月(11月6日)は,女子サッカー選手が同じくひき逃げの容疑で逮捕されました。

今回は「ひき逃げと逮捕の関係」についてお話ししたいと思います。

交通事故はもちろん起こしてはいけないことですが,ひき逃げは特に重大な犯罪になります。

法律上は,道路交通法72条の「救護義務違反」になり,人身事故を起こして「救護義務違反」が重なった場合には,10年以下の懲役又は100万円以下の罰金という刑事罰があります(道路交通法117条2項)。

一般にひき逃げの場合,逮捕されることが多いと言われていますが,そもそも,逮捕はどういう場合にされるのでしょうか。

罪を犯した人はみんな逮捕されると考えている方も結構おられるようですが,実は少し違います。

法律上は,ある程度犯罪の嫌疑があって(ある程度証拠があって),裁判官が逮捕令状を出せば逮捕できるのですが,裁判官が逮捕状を出すかどうかを判断する際には,「被疑者が逃亡するおそれ」や「罪障を隠滅するおそれ」を検討することになっています(刑事訴訟規則143条の3)。

ですから,逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがほぼ存在しないような場合には逮捕されることはないのです。

そして,逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれを判断するときの判断材料としては,「被疑者の年齢及び境遇並びに犯罪の軽重及び態様その他諸般の事情」を考慮することになっています。

そうしますと,やはり,事故を起こして逃げるような人は,「そのまま逃げ続けるかも知れないし,証拠を隠滅したりするかも知れない」と思われて逮捕されることになるのです。

逆に,事故を起こしても,すぐに警察や消防に連絡して,被害者を安全な位置に移動させるなど誠実な対応をしていれば,「この人は逃げたりするような人じゃないな」と思われるのです。

そして,加害者がきちんと対応する場合は,すぐに警察が現場に駆けつけて,現場の実況見分を行って,加害者から聴き取りを行いますし,警察署へ場所を移して取り調べを行って調書を作成したりすることになります。証拠の自動車も写真撮影をしたり場合によっては警察で保管したりします。

このようにして必要な捜査や取り調べが終われば,証拠隠滅のおそれもほとんどなくなるので,その意味でも逮捕する必要がなくなるわけです。

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