【判例解説】成年後見人であった者を特別縁故者と認めた事例

【判例解説】成年後見人であった者を特別縁故者と認めた事例

事案の概要

(事案を簡略化して説明します。)

被相続人Hは生涯独身で平成19年に97歳で亡くなりました。

AはHの父の妹の孫にあたり、BはAの夫でした。

Bは、平成11年、Hの老人ホーム入所の際の身元保証人となり、平成12年にはHの成年後見人に選任され、無報酬で財産管理等を行いました。
その後Hが死亡するまでの8年間、AとBは遠距離にもかかわらず多数回にわたり老人ホームや入院先を訪れて、親身になってHの療養看護や財産管理に尽くした上、相当の費用(240万円余)を負担してHの葬儀薬用を行いました。

AとBは、平成20年に、Hと特別の縁故関係があったとして、相続財産の分与を求めました。

裁判所と裁判年月日

裁判所:大阪高等裁判所
裁判年月日:平成20年10月24日

本件の争点

民法958条の3(現行民法958条の2)が規定する特別縁故者に成年後見人であった者が含まれるか、が本件の争点です。

結論

大阪高裁は「被相続人が平成11年に老人ホームに入所してからは、Bが、入所時の身元保証人や成年後見人となったほか、AとBは、多数回にわたって、遠距離の旅程をものともせず、老人ホームや入院先を訪れて、親身になって被相続人の療養看護や財産管理に尽くした上、相当額の費用を負担して、被相続人の葬儀を主宰したり、その供養も行っているものである。このような関係をみると、AとBは、被相続人と通常の親族としての交際ないし成年後見人の一般的職務の程度を超える親しい関係にあり、被相続人からも信頼を寄せられていたものと評価することができるから、民法958条の3所定の,いわゆる特別縁故者に該当するものと認めるのが相当である。」とした上で、「上記のA及びBと被相続人の特別の縁故関係、相続財産管理人保管に係る相続財産が、本件遺産動産のほか預金約6283万円であること、その他、本件に表れた一切の事情を考慮すると、原審の定めた金額はやや低額とみることができ、被相続人の相続財産からAに対し本件遺産動産及び500万円を、Bに対し500万円を、それぞれ分与するのが相当というべきである。」と述べて、原審が認定した額を上回る額の分与を認めました。

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