【判例解説】特別縁故者と認めるには資料が不十分であるとされた事例

【判例解説】特別縁故者と認めるには資料が不十分であるとされた事例

事案の概要

(事案を簡略化して説明します。)

昭和17年生まれで平成24年に死亡した被相続人Hの相続財産について、Hの父方のいとこA、母方のいとこB,C,D,Eの計5名が、Hの生前から親密に交際していたことやHの死後に葬儀を執り行ったことなどから、Hの特別縁故者に当たると主張して相続財産の分与を求めました。

一審は、AらはいずれもHと幼少の頃から兄弟姉妹同様に付き合って成長の過程での精神的支えとなり、生涯独身であったHとの間に特別の縁故があったと認め、A,C,Eに各1500万円、B,Dに各2500万円(計9500万円)を分与する旨の審判をしました。

これに対し、Bは、自分が行った貢献はDとは同等ではなく、Dよりも多く分与がなされるべきだと主張して、即時抗告しました。

裁判所と裁判年月日

裁判所:東京高等裁判所
裁判年月日:平成27年2月27日

本件の争点

特別縁故者と認めるためにはどの程度の資料に基づいて判断すべきか。

結論

東京高裁は「本件において、原審申立人ら(A~E)の主張を裏付けるものとして提出されている資料は原審申立人らの陳述書だけであって、客観的に原審申立人らが被相続人(H)の特別縁故者に該当することを裏付けるに認めるには十分ではなく、これらの資料だけでによって直ちに原審申立人らが被相続人の特別縁故者に当たるとまで認めるのは困難である。(中略)少なくとも、合計で約9500万円に相当する財産を分与するほどの関係にあったものと認めるには足りないというべきである。」と判示して、原審判を取り消して家庭裁判所に差し戻しました。

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