【判例解説】自筆証書遺言における遺言能力

【判例解説】自筆証書遺言における遺言能力

事案の概要

(事案を簡略化して説明します。)

遺言者Hの法定相続人は4人の子(A,B,C,D)でした。

Hは平成17年5月に死亡しましたが、H作成名義の平成13年3月1日付自筆証書遺言(本件遺言)が存在しました。

本件遺言の内容は、①不動産は全てAに相続させる、②その他の相続財産は1/4ずつ相続させる、というものでした。

裁判所と裁判年月日

裁判所:東京高等裁判所
裁判年月日:平成21年8月6日

本件の争点

Hは平成8年頃アルツハイマー型認知症を発症し、平成9年9月に生じた脳梗塞の合併で認知症が重症化し、平成10年以降も進行していました。
そのため、平成13年3月に自筆証書遺言を作成する能力があったか否かが争点となりました。

結論

大阪高裁は「(前略)鑑定の結果を併せて検討すると、Hは、平成8年ころから痴呆の症状が顕著となり、このころアルツハイマー病を発症したことが推認され、平成9年9月に脳梗塞で倒れて、見当識障害、記憶障害等の症状が認められるようになり、アルツハイマー病と左脳脳梗塞の合併症により痴呆が重症化し、平成12年2月には老人性痴呆が重症であると診断され、同年4月ころに実施された改訂長谷川式簡易知能評価スケールで8点と、やや高度の痴呆とされ、その後も老人性痴呆は進行し、本件遺言をした平成13年3月当時、見当識障害、記憶障害等の症状は持続しており、アルツハイマー病と脳梗塞の合併した混合型痴呆症によりやや重い痴呆状態にあったものと認められ、遺言能力に欠けていたと判断するのが相当である。」と述べて、本件遺言を無効と判断しました。

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