(事案を簡略化して説明します。)
被相続人Hは有限会社を設立し(本件会社)、運送業を営んでいた。被相続人には子Aと子Bがおり、Aは長年、本件会社の仕事を手伝いました。
Hは亡くなるまで本件会社の利益の全てを手中に収め、一家の家計を握っていました。Aは低い給料のみもらっていました。
裁判所:高松家庭裁判所丸亀支部
裁判年月日:平成3年11月19日
会社への労務提供は、あくまでも会社に対する貢献であって、被相続人の財産の維持又は増加に貢献したとはいえず、基本的には寄与分は認められません。
しかし、会社とは名ばかりであって実質的には被相続人の個人事業に近い場合に、会社へ貢献した相続人に寄与分が認められないかが本件の争点です。
高松家裁丸亀支部は「相手方Aは、(中略)トラック運転手として家業を手伝ってきた。(中略)同相手方は昭和35年2月に婚姻するまで給料をもらっていなかったが、婚姻後は被相続人宅の近くに別居し、低い給料ながらこれを受領して別所帯となった。同相手方の妻も本件会社の事務を手伝い同相手方同様給料を受領していた。」等の事実関係を認定した上で、Aについて10%の寄与分を認めました。