【判例解説】養子を推定相続人から廃除した事例

【判例解説】養子を推定相続人から廃除した事例

事案の概要

(事案を簡略化して説明します。)

被相続人Hは、平成9年、同人の妹Aの娘であるBを養子とする養子縁組をしました。

Bは、平成10年、インドネシアの男性と婚姻して、インドネシアへ移住しました。

Hは、病気のため、入院、手術を繰り返しました。

Bは年1回程度帰国してHから金員を受領する以外には、Hの看病のために帰国したりHの面倒をみたりすることはありませんでした。

平成19年、HはBに対して離縁を請求する訴え(本件離縁訴訟)を提起しました。

本件離縁訴訟を提起されたことを知ったBは、頻繁にHに電話を架け、毎回5~6時間にわたって、Hに対する非難を一方的に述べ、本件離縁訴訟を取り下げるように執拗に迫りました。
また、Bは様々な理由を付けて本件離縁訴訟の訴状の送達を妨害し、訴訟代理人弁護士を選任したと述べつつも一向に訴訟委任状を提出せず訴訟を遅延させました。

平成20年、Hは公正証書遺言を作成しました(本件遺言)。
本件遺言の内容は、自身の遺産をA,B以外の親族に遺贈する、Bを推定相続人から廃除する、遺言執行者としてCを指定する、というものでした。

平成21年、Hが死亡しました。
Hの死亡により本件離縁訴訟は当然に終了しました。
CはBをHの推定相続人から廃除する旨の審判を申し立てました。

裁判所と裁判年月日

裁判所:東京高等裁判所
裁判年月日:平成23年5月9日

本件の争点

Bの行為がHに対する「重大な侮辱」または「著しい非行」(民法892条)に該当するのかが本件の争点です。

結論

大阪高裁は「平成10年から10年近くの間、Hが入院及び手術を繰り返していることを知りながら、年1回程度帰国して生活費等としてCから金員を受領する以外には看病のために帰国したりその面倒をみたりすることはなかったこと、(中略)本件離縁訴訟が提起されたことを知った後、連日Hに電話をかけ、Hが体調が悪いと繰り返し訴えるのも意に介さず長時間にわたって訴訟を取り下げるよう執拗に迫ったこと、信義に従い誠実に訴訟を追行すべき義務に違反する態様で本件離縁訴訟をいたずらに遅延させたことなどのBの一連の行為を総合すれば、Bの行為は民法892条にいう「著しい非行」に該当するものというべきである。」と述べて、BをHの推定相続人から廃除しました。

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