アメリカ前大統領であるトランプ氏の2回目の弾劾裁判が話題になっています。
トランプ氏は今回の弾劾裁判が2回目になります。
1回目は,大統領選挙に関連してウクライナの大統領に圧力を掛けたという容疑で訴追されましたが,昨年2月に無罪の評決が出ました。
今回は,1月にトランプ氏の支持者がアメリカの連邦議会議事堂を襲撃した事件において,その襲撃を扇動したという容疑です。
アメリカの大統領の弾劾裁判の制度を簡単に説明します。
アメリカの連邦議会のうち,まず,下院が訴追するかどうかを決めます。
下院が訴追するためには過半数の賛成が必要です。
現在,下院の過半数を民主党が占めているので弾劾訴追が可決されたわけです。
弾劾訴追が可決されると,次は上院で弾劾裁判が行われます。
上院議員が陪審員の役割をします。上院議員の3分の2以上が賛成をすれば「有罪」の評決となります。
この「有罪」というのは,ちょっと特殊な意味で「政治的な有罪」という意味です。
有罪となった場合,それだけでは不名誉なだけですが,有罪の評決が出ると,上院の過半数の決議で公職に就く資格を剥奪することができます。
これには重要な意味があります。トランプ氏は4年後の大統領選挙に出馬する意向があるといわれていますが,公職に就く資格を剥奪されると,大統領選挙に出馬することはできなくなります。
それでは,今回の弾劾裁判はどうなるのでしょうか。
上院の議員定数は100人なのですが,現在,上院では共和党と民主党がちょうど50人ずつです。
民主党の議員はおそらく全員が賛成するでしょうから,問題は共和党の議員が何人賛成に回るかです。
有罪評決のためには100人の3分の2以上,つまり67人以上の賛成が必要ですから,そのためには共和党の議員のうち17名以上が賛成に回る必要があります。