ファスト映画を動画投稿サイトで公開した著作権法違反罪で男女3人が刑事裁判で有罪判決になりました。
ファスト映画というのは,1本の映画を10分から15分くらいにまとめてナレーションを付けたりして筋書きを紹介していく動画のことです。昨年(令和2年)の春頃から増えてきているそうです。
今回,刑事裁判になったケースは,著作権者に無断で映像を利用し,かつ,編集もしており,著作権法違反は明らかです。3人の被告人も当初より起訴事実を認めていました。
3人の被告人が有罪なのは明らかですが,今回は視聴者側がどうなるのかについて勉強したいと思います。
そのためには,著作権法の改正経緯を見ていく必要があります。
著作権者に無断で映画などの著作物をアップロードするのは,ずっと以前から違法です。
これに対してダウンロードが違法になったのは比較的最近です。
平成22年に,初めて「違法にアップロードされた音楽や映画を違法にアップロードされたものであることと知りながらダウンロードをすること」が違法になりました。
しかし,このときはまだ罰則がありませんでした。
平成24年の著作権法の改正で刑事罰が規定されました。この時点でダウンロードが単なる「違法」から「犯罪」になりました。
そして,今年(令和3年)1月1日に施行された改正法では,さらにダウンロードが禁止される範囲が広まりました。
これまでは,禁止される範囲が音楽や映像のダウンロードに限られていたのですが,改正法では全ての著作物が対象になりました(漫画なども含まれるようになりました。)。
このように,徐々にダウンロードが違法になる範囲が広がってきています。
もっとも,現時点ではストリーミング再生は違法ではないということになっています。
しかし,個人的には,いずれストリーミングも違法になるだろうと思っています。
なぜかというと,結局のところ,視聴する人がいる限り違法アップロードはなくならないので,本当に著作権者の利益を守ろうと思えば,「ストリーミングは合法」という現状のままでいいとは思えないからです。