東北自動車道の佐野サービスエリアで従業員がストライキを起こしたということがニュースで話題になりました。
今回はストライキについて書きたいと思います。
法律上,ストライキとは,労働組合が労働条件の改善を目的として団体交渉を行うための手段として行われる同盟罷業のことをいいます。
労働者一人ひとりは力が弱いために,労働条件について経営者と対等に交渉する力を持っていません。
そこで,日本国憲法は労働組合を結成する権利を保障して,労働組合が対等に経営者と労働条件について交渉できるように団体交渉の権利も保障しました。
そして,団体交渉の権利を絵に描いた餅にしないためにストライキという実力行使の権利を認めたのです。
つまり,正当なストライキというためには,①労働組合が行うものであり,②労働条件の改善が目的であり,③団体交渉を行うための手段として実行するもの,という3つの要件を満たす必要があります。
佐野SAの事案では,報道だけでは,第一の要件である,「労働組合」が存在するか否かが不明です。
また,第二の要件としての,「労働条件の改善」を目的とするかどうかも微妙です。経営方針や人事に対して労働者側の要求を求めることは原則としてできません。
ただし,表面的には経営方針や人事に関する内容に関するものであっても,背景に過酷な労働環境があり,最終的には労働環境の改善を目的としているのであれば,この要件を満たします。
最後に第三の要件ですが,団体交渉を行うための手段としてストライキが実行されたかどうかが問題になります。
この点も報道では明らかでなく,経営者側と従業員側とでは主張が食い違っています。
労働組合が団体交渉を求めたにもかかわらず,経営者側が交渉に応じなかったという場合には,この要件を満たしますが,経営者側が交渉に応じる用意があると表明しているのに,それを無視してストライキを実行したのであれば,正当なストライキとはいえない可能性があります。