昨年の夏,高知県の公立小学校で,プールの水を止め忘れたことにより250万円ほど水道料金が増えたという事件(事故?)がありました。
この件で,水を止め忘れた教師に水道代を請求するというニュースがありました。
報道によると,高知市は増えた水道料金の半分程度の132万円を現場の教師たちに請求すると決めたそうです。
内訳は,止め忘れた教師が50%の66万円,校長と教頭が25%の33万円ずつだそうです。
この手の事件は,よく起きています。
昨年夏には,大阪市の小学校でプールの排水弁が開いたまま1週間水を出し続けた事件があり,このときの損害額は140万円くらいといわれています。
2018年には,神奈川県綾瀬市の公立小学校でプールの給水栓を閉め忘れて108万円の損害が出た事件で,市が学校関係者7人に対して損害額の50%にあたる54万円を請求したことがありました。
そして,学校ではないですが,兵庫県庁では,2019年に貯水槽の点検時に排水弁を閉め忘れて600万円の損害が出たことがありました。
このケースでは,県が職員に対し損害額の半分にあたる300万円を請求しました。
だいたい,損害額の半額程度を請求していることが多いですね。
今回の高知市の件でも,損害額の半額を請求することになりました。
この「半額請求」の流れは,過去に東京の都立高校でプールの排水バルブを閉め忘れて100万円程度の損害が発生した事案で,都民が裁判を起こした件がきっかけになっています。
都民は裁判で「都はミスをした教職員らに対して損害額の全額を請求すべきだ」と主張したのですが,裁判所は「請求できるのは半額までが妥当だ」と判断しました。
この例が半額請求の前例になったのです。
しかし,仕事上のミスによる損害を組織が個人に対して請求することについては賛否両論があります。
プールの事件に関していえば,例えば,自動で異常を感知して給水をストップする装置を付けるとか,複数の人が確認する態勢を作る等の対策を取っていれば防げたかもしれません。
個人的な感想としては,多忙な教師に責任を取らせるのは少しかわいそうな気がします。