袴田事件・身体拘束の補償は?

袴田事件・身体拘束の補償は?

無罪判決の概要

9月26日、静岡地方裁判所で袴田事件の再審無罪判決が言い渡されました。

袴田事件というのは今から58年前に静岡県で一家4人が殺害された事件で袴田巌さんが死刑判決を受けて確定した事件について、再審請求が2回行われ、2回目の再審請求が認められて、本年5月に再審の審理が終結して、判決待ちの状態となっていました。

最大の争点は、事件から1年2か月後に味噌樽の中から血液のついた衣類が出てきたことについて、捜査機関によるねつ造ではないかという点でした。

今回の判決で、裁判長は明確に捜査機関による「ねつ造」だと述べました。

再審無罪判決が出た場合、通常、検察は控訴をしないので、このまま無罪判決が確定するでしょう。

拘束に対する補償は?

では、再審無罪が確定した場合、袴田さんは国に対して何らかの補償を請求できるでしょうか。袴田さんは、1966年8月に逮捕されてから2014年3月に再審開始決定が出るまで約48年間身体を拘束されていました。

身体拘束を受けた人が無罪となり確定した場合の補償としては大きく2つあります。

刑事補償

1つは刑事補償法による刑事補償です。これは日本国憲法40条に定められていますので憲法上の要請でもあります。

支払われる金額は身体拘束1日あたり1000円から1万2500円の間で決定されます。

国家賠償請求

もう1つは国家賠償請求です。国家賠償請求は、国家賠償法に基づくものであり、公務員が故意または過失によって違法に損害を与えた場合に認められる賠償責任です。

刑事補償との違いは、刑事補償は違法性の有無を問わないのに対して、国家賠償は違法性と故意または過失が必要となる点です。

慎重な捜査の結果、犯人であると考える十分な証拠があると判断して起訴したものの、結果として無罪になった場合において「起訴当時の判断としては間違いとは言えない」ということであれば違法性はないということになります。結果論だけで賠償責任を負わすことはできないのです。

もっとも、今回の件では、裁判所が「捜査機関による証拠のねつ造があった」と断定したわけですから、違法性と故意が認められることになると思います。

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