4月,大分市の覆面レスラー議員が市議会のサイトなどに顔写真が載せられないのは人権侵害だということで,大分地裁に仮処分を申し立てるというニュースがありました。
市議会議員の名前は「スカルリーパー・エイジ」さんといいます。
エイジ氏は覆面プロレスラーで,大分市議選には2013年2月に初当選して,その後当選を重ねて現在は3期目です。
ところで,エイジ氏は市議会議員としての正式な顔写真撮影をしていないそうです。
理由は,エイジ氏は覆面で撮影して欲しいと要望しているのだけれども,市議会は素顔での顔写真しか掲載しないという立場をとっているからです。
そのため,エイジ氏は大分市議会のサイトや市の広報誌などに市議会議員としての顔写真を出せない状況が続いています。
今回,エイジ氏は,市議会のサイトなどの顔写真を載せないのは人権侵害だとして裁判所に仮処分を申し立てる予定だと述べています。
仮処分という手続きは少しややこしいので,今回は仮処分の説明は省略して,「人権侵害だ」というエイジ氏の主張について検討したいと思います。
「人権」というのは,「人として当然に認められる権利」とか「自分らしく生きるために尊重されるべきもの」とか,基本的にはそのようなイメージでいいと思います。
しかし,人権の本来的な意味は,「公権力によっても奪うことのできない個人の自由」というところにあります。この場合の個人は「私人」を意味しています。
ところが,エイジ氏は市議会議員ですから議員として活動する場面では「私人」ではなく「公人」です。
そして,今回問題になるのは,公権力が「私人」の自由を奪う場面ではなく,公権力が「公人」に対して設定したルールの是非です。
そのように考えると,あくまで私見ですが,エイジ氏の主張が認められるのは難しいのではないかと考えております。