今回は,証人尋問その2です。
証人尋問において,証人は基本的に書類などを見て証言することはできません。
証人の記憶をチェックすることが最大の目的だからです。
このように言うと,「言うべきことを丸暗記すればよいのか」と思われがちですが,そうではありません。
仮に完璧に丸暗記をしたとしても,尋問には「反対尋問」があります。
反対尋問では,さまざまな角度から揺さぶりをかけます。
すべての質問を予想することは不可能なので,予想外の質問が出たときにしかるべき回答が出てこなければ,さっきまでの「完璧な」回答がかえって不自然に感じられます。
このような「不自然さ」を裁判官は見逃しません。一挙に形勢逆転ということにもなりかねません。
このように,反対尋問のチェックを受けることにより,虚偽の証言や誇張された証言の信用性を減殺することができる仕組みになっているのです。