遺産分割とは

遺産分割とは

遺産分割とは

遺産分割とは、被相続人が死亡時に有していた財産について、個々の相続財産の権利者を確定させる手続きです。
大きく分けて、遺言書に従って行う遺産分割と、相続人間の取り決めによって行う遺産分割があります。

遺言書がある場合は、原則として遺言書の内容どおりに遺産を分配します。

遺言書がない場合は、被相続人の遺産は相続人全員の共有となりますので、「誰が何を」取得するかについて、相続人全員で取り決めを行う必要があります。
取り決めを行う手続きとしては「遺産分割協議」「遺産分割調停」「遺産分割審判」の3種類の手続きがあります。

遺産分割協議

共同相続人全員の協議により遺産を分割する方法です。

相続人全員で協議を行い、合意が形成されれば遺産分割協議書を作成します。

遺産分割調停

遺産分割協議が調わない場合には、家庭裁判所に対して遺産分割調停の申し立てを行うことができます。
調停というのは中立な第三者に入ってもらう話し合いの一種です。

遺産分割調停において相続人全員の間で合意が成立すると調停が成立し、調停調書が作成されます。
調停調書に記載された調停条項に従って遺産の分割が行われます。

遺産分割審判

遺産分割調停でも合意が形成されず調停が不成立に終わった場合は、家庭裁判所による審判が行われます。

家庭裁判所は調停の経緯や諸般の事情を勘案し、各相続人に公平かつ妥当と思われる内容の審判を行い、審判書が作成されます。
審判が確定すると、審判書の内容に従って遺産の分割が行われます。

遺産分割の方法

遺産の分割の方法としては、4種類あります。

「現物分割」「代償分割」「換価分割」「共有分割」の4つです。それぞれ、メリットとデメリットがあります。

現物分割

「現物分割」とは、遺産の現状をそのままの状態で分割することです。

例えば、遺産の中に複数の不動産がある場合、各相続人が1つずつ不動産を取得する、というようなものです。
相続人が3人いて土地が3筆あるとします。
「俺はこの土地が欲しい。」「じゃあ、俺はこれが欲しい。」「僕はこれでいいよ。」と合意ができれば、すぐに解決します。

「現物分割」はシンプルなのが長所です。

しかし、不動産が1つしかない場合などは現物分割は難しくなります。
土地が1筆である場合に現物分割しようとすれば、その土地を分筆することになりますが、土地を分筆する場合、測量をする必要がありますし、費用もかかります。
また、土地上に建物が建っている場合、現物分割はほぼ不可能です。

代償分割

「代償分割」とは、ある遺産を取得する代わりに、他の相続人に金銭を支払って解決するという方法です。その際に支払う金銭のことを「代償金」といいます。

たとえば、主な遺産が実家の土地と建物だけという場合、一人の相続人がその土地と建物を相続して、他の相続人に対して金銭(代償金)を支払うという形になります。

この「代償分割」のメリットは、相続人間で合意ができた場合には、比較的簡単に処理が可能です。
なぜなら、不動産の名義を移転することと、お金を払うことだけで済むからです。

しかし、デメリットとして、2点挙げることができます。
一つ目は、代償金の額について争いが起こりやすいということです。特に不動産の評価を幾らとするかについて合意できない場合が多く見られます。
二つ目は、代償金を用意できない場合がある、ということです。不動産の価格が大きい場合などには、代償金を用意することができずに「代償分割」が実現しないことがあります。

換価分割

「換価分割」とは、遺産を売却して換価した売却代金を、相続人の間で分配する方法です。

「現物分割」が困難で、かつ、どの相続人も遺産の取得を希望せず、したがって「代償分割」もできないような場合には、遺産を売却さえできれば解決するという点がメリットです。
また、この方法だと、実際に売れた価格が適正な市場価格ということになりますので、金額に関する争いも起きにくいといえます。

しかし、問題点としては、購入希望者が現れないと売却できない点、また、購入希望者が現れた場合でも、売却額について相続人の間で合意できないと売却が実現しない点などがあります。

共有分割

「共有分割」とは、遺産をそのまま共有とする、という方法です。

たとえば、遺産の不動産の名義を「長男2分の1、二男2分の1」などと共有として登記するという形です。

これまでに述べた「現物分割」「代償分割」「換価分割」のいずれも実現しない場合のやむを得ない手段です。

「共有分割」も遺産分割の一種ではあるのですが、最終的解決とはいえません。
いずれ、共有状態を解消するか売却することが必要になるでしょう。したがって、あくまで暫定的な解決にすぎません。

まとめ

以上のように、「遺産分割」については、遺言がある場合とない場合で異なりますし、相続人間で取り決めを行う手続きが複数存在します。

また、遺産分割の方法についても複数あり、それぞれメリット、デメリットがあります。

実際の遺産分割では、遺産の種類や内容、相続人の希望など、複雑な要素が絡み合いますので、どのような手続きがベストなのか、どのような分割方法がベストなのかについては、それぞれの事案によって異なってきます。

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