金龍ラーメン尻尾撤去

金龍ラーメン尻尾撤去

こんにちは。宝塚花のみち法律事務所の弁護士の木野達夫です。

先日のニュースで、大阪ミナミの「金龍ラーメン」の尻尾が撤去されたという話がありました。

そこで、今回は土地の所有権はどこまで及ぶのかについてお話ししたいと思います。

金龍ラーメン事案の概略

まず、金龍ラーメンの事案ですが、大阪では有名なラーメン屋さんで、立体看板といって、店舗の壁に龍の模型が設置されています。

そして、尻尾は店舗を貫通しているように見えるデザインで壁から1メートル程度飛び出していたのです。

その飛び出している尻尾部分の敷地所有者が「土地の境界を越えているので撤去してくれ」ということで裁判になりました。

一審の大阪地裁(2023年)も控訴審の大阪高裁(2024年5月)も敷地所有者の請求を認めました。金龍ラーメンの運営会社が上告をしなかったため判決は確定しました。

そして、とうとう、8月23日に尻尾の撤去を行ったというニュースでした。

上空部分の権利について

ところで、土地の所有者は土地の上空部分をどこまで権利を主張できるのでしょうか。

今回の判決は、建物を建築するのに邪魔になるということなので、当然権利が及ぶ範囲です。

しかし、どこまでも権利が及ぶならば、飛行機が飛ぶ場合に、敷地所有者の許諾がいるのでしょうか。

この点、私人間の基本的な権利関係を規定した民法では、207条で「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ」と規定しています。

つまり、「無制限」ではなく「法令の制限」の範囲内で権利が及ぶとなっているわけです。

では、「法令」で決まっているのかというと、上空については、そのことを規定した法令はありません。常識の範囲内で、ということになっています。

地下部分の権利について

それでは、地下はどうでしょうか。

地下については、「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」(略称:「大深度地下使用法」または「大深度法」)という法律があります。

これは、首都圏、近畿圏、中部圏の三大都市圏のみが対象で、都市圏では、鉄道事業、道路事業、電気通信事業などの公共事業で、地下を利用する必要性が高いのですが、いちいち敷地所有者の全員の許可が必要となると、事業が実現できないということで、平成12年に制定された法律です。

この法律の対象となる地域の場合、原則として地表から40メートル以上深い部分は土地所有者の承諾を得なくても、公共事業のために利用できることになっています。

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