18歳以上の選挙権の行使が認められるようになり,新たに約240万人の有権者が投票できるようになりました。
18歳,19歳といえば,ツイッターなどのSNSの世代ですね。
ツイッターなどで気に入った候補者を応援するメッセージを投稿したりするなどの行為が広がったとのことです。
未成年者は今まで「選挙運動」ができませんでしたが,今回の法律改正で「18歳以上」であれば選挙運動ができるようになりました。
しかし,「18歳未満」は改正後も「選挙運動」ができません。
そもそも,「選挙運動」とは何でしょうか。
選挙運動とは「特定の選挙について,特定の候補者の当選を目的として,投票を得又は得させるために直接又は間接に必要かつ有利な行為」とされています。
要するに,選挙で候補者を応援することですね。
どうして未成年者は選挙運動を禁止されていたのでしょうか。法律改正後も,どうして18歳未満の人は選挙運動ができないのでしょうか。
一般的に言われているのは,「選挙に出る人や候補者を応援する人にはいろいろな思想の人がいて,未成熟な子供が選挙運動に巻き込まれると一定の思想に洗脳されてしまい,正常な判断ができなくなるおそれがある」ということです。
以前お話しした「パターナリズム」です。国家が,未熟な子供を守ってあげるという考え方です。
一例を挙げれば,未成年者の喫煙や飲酒の禁止がそうです。大人はいいけれども,未成年者が喫煙や飲酒をすると身体の成長にも悪いし,子供は正しい判断ができず飲む量をコントロールできないから法律で禁止するということです。
しかし,18歳未満の選挙運動を禁止するというのは少し違和感を覚えます。
選挙運動は,憲法で認められた民主主義を支えるための重要な活動です。
安易に禁止するべきではありません。
しかも,タバコや飲酒の禁止には罰則規定がありませんが,18歳未満が選挙運動をすれば罰則があります。
(※1年以下の禁錮又は30万円以下の罰金と5年間の選挙権停止)
未成年者が喫煙や飲酒をしても罰則がないことの理由としては,「未成年者を守るための法律だから」だと言われています。
そうすると,同じく未成年者を守るためといいながら,選挙運動の禁止には罰則があるというのは不思議です。
このように現行の公職選挙法は,個人的には少し疑問に思っています(他にもありますが省略します)。
新しく有権者になられた18歳以上の方達は,しっかりと投票に行って欲しいのはもちろんですが,これを機会に公職選挙法や憲法についても勉強してもらえればと思います。