最近,USJが転売チケットを無効にする方針を打ち出した,というニュースがありました。
USJでは,特にアトラクションの待ち時間を短縮できる「エクスプレスパス」が買い占められて高額で売られていることが以前から問題となっていました。
USJはこのような買い占めや転売を排除することが目的であると説明しています。
そもそも,チケットの転売は違法なのでしょうか。
いわゆる「ダフ屋行為」は警察の取締の対象となっています。
ダフ屋行為が取締になる理由は,戦後の食糧難の時代に遡ります。
戦後の食糧難の時代,配給札を買い占めて高額で売る行為が行われていました。
このような行為が横行すると,金持ちはたくさん食べられるけど,貧乏な人は餓死してしまうことになります。
そこで,物価統制令でこのような行為を禁じていました。
その後,高度経済成長期になると,ダフ屋行為を禁止する理由が変わってきます。
例えば,人気のイベント会場などで,ダフ屋がチケット売り場のチケットを全部買い占めたらダフ屋は暴利をむさぼることができます。
また,ダフ屋にクレームを付ける人も多く,会場周辺が混乱したりしました。
このような暴利や混乱を防止するために,ダフ屋行為は各都道府県の迷惑防止条例によって規制されることになりました。
主に混乱の防止という理由による規制ですので,迷惑防止条例では,「公衆が出入りすることができる場所」でのチケットの転売などを禁止しています。
ですから,インターネットでの転売は迷惑防止条例違反には該当しないと言われています。
(コンビニで購入したチケットをネットオークションで販売した人が摘発されたケースがありますが,「コンビニ」は「公衆が出入りすることができる場所」といえるからでしょう。)
USJは,すべての転売行為を一律に禁止することにしたというのですから,元々法律に違反していない行為も含めて禁止したということになります。
なぜ,そのようなことができるかというと,それが契約内容となるからです。「契約条件を守れる人だけが契約してください(利用してください)」ということです。
また,USJでは,チケット転売の撲滅を目指すとともに,被害に遭った人(無効となるチケットを買わされた人)の支援もすると言っているようです。
具体的には,集団訴訟や刑事訴追の支援をしたいと述べています。
法律で禁止されていないのに刑事訴追ができるのでしょうか。
結論は「できます」
その理由はこういうことです。
USJが「転売チケットは無効とする」と宣言しました。
すると,チケットを転売する行為は「使えないチケットを売る」行為になります。
つまり,詐欺罪に該当し,警察が捜査することが可能となるのです。