(事案を簡略化して説明します。)
被相続人Hが死亡しました。
Hの法定相続人はHの子A,B,C,Dの4人でした。
Aが遺産分割審判を申し立てた結果、Hの遺産である株式(本件株式)について、各相続人が各持分4分の1の割合で共有する旨の遺産分割審判がされ、同審判は確定しました。
その後、B,C,DがAを被告として、本件株式について共有物分割請求訴訟を提起しました。
原審は、本件株式が可分債権に該当するとした上で、相続開始により、各相続人は本件株式を法定相続分に応じて分割承継したことから、もはや相続人間で準共有を生じることはないとして、訴えを不適法却下としました。
裁判所:最高裁判所第三小法廷
裁判年月日:平成26年2月25日
株式は相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されるか、が本件の争点です。
最高裁は「株式は、株主たる資格において会社に対して有する法律上の地位を意味し、株主は、株主たる地位に基づいて、剰余金の配当を受ける権利(会社法105条1項1号)、残余財産の分配を受ける権利(同項2号)などのいわゆる自益権と、株主総会における議決権(同項3号)などのいわゆる共益権とを有するのであって、このような株式に含まれる権利の内容及び性質に照らせば、共同相続された株式は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはないものというべきである」と述べて、原判決を破棄し、高等裁判所に差し戻しました。