袴田事件の再審が結審

袴田事件の再審が結審

こんにちは。宝塚花のみち法律事務所の弁護士の木野達夫です。

58年前、静岡県で一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さんの再審の裁判が5月22日にすべての審理が終わり結審となりました。

この事件では、捜査機関による厳しい取り調べが行われたことなどが明らかになっており、多くの問題点があるのですが、最大の問題点は事件から1年2か月後に味噌樽の中から血液のついた衣類が出てきたことです。

その衣類には赤い色の血液が付着しており、その衣類は袴田さんが着ていたものだということになり、それが重要な証拠となって死刑判決が確定しました。

袴田さんの無罪を信じる弁護団が再審請求を行いましたが、1回目の再審請求は最高裁まで行って棄却されました。

弁護団は袴田さんの無実を信じる支援者の協力を得ながら、2008年4月に2回目の再審請求を行ったのですが、このときに、衣類を1年2か月味噌に漬けた実験結果を証拠として提出したのです。

弁護団が行った実験では、衣類は元の色が分からなくなっており血のついた部分は真っ黒になっていました。

この新たな証拠を重視した静岡地裁は2014年に再審開始の決定を下しました。しかし、東京高裁は静岡地裁の決定を覆して再審決定を取り消しました。

ところが、2020年に最高裁は、味噌漬けの実験について「化学的に説明するべきだ。審理が不十分だ。」と言って東京高裁に差し戻しました。

東京高裁では最高裁の指示に従って「化学的な説明」について重点的に争われました。

弁護団は法医学の専門家に鑑定を依頼し、検察も独自に味噌漬けの実験を行いました。

その結果、2023年に東京高裁は再審開始決定を支持する決定を出しました。この決定に検察官が特別抗告をしなかったため再審開始決定が確定しました。

実に1回目の再審請求から42年、2回目の再審請求からでも15年が経過していました。

一度、確定した裁判をやり直すということは簡単にできることではありません。今までに死刑が確定した事件で再審が開かれたのは袴田さんの事件を含めて5件のみです。

それほど再審の壁は高いのです。逆に言うと、再審が開始されたということは、裁判所が「冤罪に間違いない」という程度に確信を持ったということです。

そして、再審は昨年の10月27日から始まり今年の5月22日に結審しました(審理期間は約7か月)。再審が開始されるまでの審理期間に比べて再審の審理期間はとても短いですね。つまり「再審を開始した」という時点でほぼ結論は決まっているのです。

実際、過去に行われた死刑判決の再審4例は全て無罪が言い渡されています。袴田事件の再審判決は9月に言い渡されることになりました。

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宝塚花のみち法律事務所 弁護士木野達夫

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