こんにちは。宝塚花のみち法律事務所の弁護士の木野達夫です。
今回は「裁判の勝ち方」について書きたいと思います。
裁判で勝つために重要なことが二つあります。
一つは証拠を集めることです。当然と言えば当然ですが、特に重要なことは「客観的な証拠」を集めることです。
それでは「客観的な証拠」とは何でしょうか。
刑事事件ではイメージしやすいかと思います。犯行現場に指紋のついた凶器が残っていた、被害者の衣服に容疑者の血液が残っていた、このようなものが客観的証拠です。
相続案件の場合、遺産分割協議書や銀行が発行した残高証明書などの書類が客観的証拠といえます。
その他、病院のカルテの記載や、介護施設の職員が利用者の様子を記載した日誌などは「準客観的証拠」といわれます。
カルテというのは医師の判断を記載したメモですから、そういう意味では主観的ともいえますが、紛争に利害関係のない第三者で、かつ、専門家としての判断が記載されているので、客観的証拠に近いものとして扱われます。
介護施設の職員の記載も、紛争に利害関係のない第三者が記載しているという点ではカルテと同様ですので、客観性が高いものとして扱われます。
相続案件では、「遺言書が出てきたけど、作成した日付を見ると、この頃は既に認知症がひどくなっていて、とても遺言書なんか書ける状態ではなかった。きっと誰かが無理やり書かせたはずだ。」という相談がときどきあります。
このようなケースの場合、病院のカルテや施設の記録等の準客観的証拠が重要になってきます。
この場合、例えば、「この頃、おばあちゃんは認知症がひどくて会話が成り立ちませんでした。」という家族の証言は主観的証拠です。
家族など当事者と関係が近い人は、経験的にその当事者に有利な話をすることが多いため、このような主観的証拠は裁判ではあまり重要視されないのです。
ですから、裁判で勝つためには客観的証拠をできるだけ多く集める必要があります。
もう一つは、嘘をつかないことです。
嘘をつくと、必ずどこかでほころびが出ます。裁判では、誰もが裁判を有利に進めたいとの気持ちから、少し大げさに言うとか、小さい嘘をちょっと混ぜるとか、そういうことをしたくなる誘惑に駆られます。
その誘惑に負けて嘘をつくと後で痛い目に遭います。
ちょっとした嘘でも裁判官に気づかれると決定的に不利になります。
一つの嘘があると全体が信用されなくなります。
逆を言えば、相手の嘘を見破り、それを裁判官に分かってもらえれば裁判に勝つ可能性は高くなるといえます。
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宝塚花のみち法律事務所 弁護士木野達夫