遺産の範囲の争い

遺産の範囲の争い

遺産分割について、当事者の間で話し合いがまとまらない場合は「家庭裁判所」に「遺産分割調停」を申し立てることができます。
そして、「調停」は話し合いですから「調停」がまとまらない場合は「審判」といって「家庭裁判所」の裁判官が遺産の分け方を決定します。

では、そもそも、「遺産の範囲」に争いがある場合はどうなるでしょうか。

例えば「名義預金」というものがあります。
「名義預金」とは「他人の名義を借りている預金」という意味です。
つまり、名義は他人だけれども、自分の預金ということです。
子どもの将来のために、子どもに黙って「子どもの名義」で預金することがあります。これが「名義預金」です。名義は子どもですが,法律的には親のお金です。
他にも、「税金対策」として自分のお金を「子どもの名義」で預金する場合があります。これも「名義預金」です。

この「名義預金」などが「遺産の範囲」についての争いになることがあります。
例えば、親が亡くなって「名義預金」らしい預金が1億円あったとします。そして、子どもが2人いて長男と二男とします。
「長男名義」で8000万円の預金があり、「二男名義」で2000万円の預金があったとします。
この場合、長男と二男が、「全部『名義預金』だから親の遺産だよね。」ということで、「親の遺産1億円」を5000万円ずつ分ければ問題はありません。
しかし、長男が、「8000万円は元々俺の金で、2000万円は元々弟の金だ。つまり遺産はない。」と言い出すかもしれませんね。
この場合、遺産は「1億円」なのか「ない」のか、「遺産の範囲」に争いがあるわけです。

そして、このように「遺産の範囲」に争いがある場合は、まず、「遺産の範囲」を確定するために「地方裁判所」で裁判を起こす必要があります。
初めに、遺産の分け方が決まらない場合は、「家庭裁判所」で遺産の分け方を決定する、と述べました。
しかし、「遺産の範囲」を確定するためには、「地方裁判所」で裁判をする必要があります。
なぜ、そうなるかについては、またの機会にお話ししたいと思います(追記:コラム「遺産確認請求訴訟とは」で書きました)。
今回は、遺産の問題は「家庭裁判所」で審理することもあれば「地方裁判所」で審理することもある、ということを覚えておいてください。

なお、今回、「税金対策として子どもの名義で預金する」という話が出てきますが、「税金対策」として子どもの名義にする場合は注意が必要です。「税金対策」については信頼できる税理士さんにご相談いただくようにお願いいたします。

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