被相続人は平成13年2月に死亡したが、配偶者との間に子がいる他に別の女性との間にもうけた子がいました。
本件は、被相続人と配偶者との間の子が遺産分割審判を求めた事案です。
裁判所:那覇家庭裁判所
裁判年月日:令和5年2月28日
平成25年改正前民法900条4号ただし書前段の規定(旧規定)によると「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1」とされていました。
しかしながら、同規定には批判が強く、憲法14条1項(法の下の平等)に違反するのではないかということで多数の裁判が起こされていました。
有名な最高裁平成7年7月5日大法廷決定(平成7年決定)では「旧規定は合憲」と判断されました。
しかし、最高裁平成25年9月4日大法廷決定(平成25年決定)では、「旧規定は遅くとも平成13年7月当時において憲法14条1項に違反していた」旨を判示しました。
平成25年決定を受けて国会は民法を改正し、旧規定は削除され、嫡出子と非嫡出子との相続分は同等になりました。
ところで、平成7年決定の後、平成25年決定までの間にも最高裁は同種案件について複数の合憲判断を行っていました。その中で相続開始時が一番遅いのは相続開始時が平成12年9月の事案です。
この事案において最高裁は合憲判断を下しています(最高裁平成16年10月14日第一小法廷判決)。
すなわち、最高裁の判断は、一番遅い時期の合憲の判断は「平成12年9月時点において旧規定は合憲であった」というもので、一番早い違憲判断は「遅くとも平成13年7月当時において旧規定は違憲であった」ということになります。
したがって、平成12年10月から平成13年6月までの期間については最高裁によって合憲か違憲かの判断がなされていません。
この期間に相続が開始した事案において旧規定が合憲と判断されるのか違憲と判断されるのかが本件の争点でした。
本事案で那覇家庭裁判所は、平成13年2月の時点において旧民法は憲法14条1項に違反していたと判断しました。