こんにちは。宝塚花のみち法律事務所の弁護士の木野達夫です。
最近、法律相談で増えているのが、「兄弟が親のお金を取ろうとしています。何とかなりませんか?」という種類の相談です。
具体的には、「兄が母親と同居しています。兄は母親の通帳を管理していて、どうやら好き勝手に母親の口座からお金を引き出して使っているみたいなんです。これをやめさせるにはどうすればいいですか?」という内容です。
このようなケースの場合、兄が母親を虐待していないかが一応問題になります。いわゆる「経済的虐待」といって、親の金銭を支配してしまい、親には全くお金を渡さないという一種の虐待です。もしそのようなことがあれば親の命にも関わる大変な問題です。その可能性があるならば、地域包括センターに連絡をして虐待が行われていないか調査してもらったほうがいいでしょう。
地域包括センターは関係機関から情報収集を行ったり訪問調査を行ったりします。もっとも、訪問調査などで、母親が「息子とは仲良くやっています。お金のことで特に問題はありません。」と答えるとそれ以上の対応は難しいでしょう。
もう一つの問題は、母親が重度の認知症に陥っていないかという点です。母親が重度の認知症で自分の預貯金が使われていることを認識していない場合です。このような場合は、速やかに成年後見人を選任する必要があります。成年後見人が選任されれば、それ以降、兄は母親のお金を使うことができなくなります。
上記二つのどちらでもない場合は、母親が自分の意思でお金をお使っているか、兄がお金を使うことを黙認しているということになります。その場合は、母親の意思に基づいているので「やめさせる」ことはできません。あくまで「母親のお金は母親のもの」だからです。
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宝塚花のみち法律事務所 弁護士木野達夫