遺言執行者とは

遺言執行者とは

遺言執行者とは何をする人ですか?

遺言執行者とは、遺言の内容を実現するための手続きを行う人です。

民法1012条には、次のように遺言執行者の権利と義務が規定されています。
「遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。」

遺言執行者が行うべきこと

遺言執行者は、就職を承諾した場合は、まず、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければなりません(民法1007条2項)。

また、遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければなりません(民法1011条1項)。

したがって、遺言執行者は、戸籍を取り寄せるなどして相続人を確定させる必要があります。

それと並行して、遺言執行者は遺言者の財産を調査しなければなりません。
そのためには、不動産の関連書類を入手したり、預貯金について金融機関から残高証明書を取り寄せたり、証券会社に対して株式の保有について照会を掛けたりします。保険についても資産価値があるものは調査しなければなりません。

また、プラスの財産だけでなく、負債についても調査が必要です。

そして、プラスの財産と負債をまとめて整理して財産目録を作成します。
相続人が確定して財産目録が完成すれば、各相続人に対し財産目録を交付します。

実際には、相続人の確定と財産目録の作成には数か月程度かかるので、まずは、判明している相続人に対して遺言の内容を通知(遺言書の写しを送付)するべきでしょう。

遺言執行者ができること

上記のとおり、民法1012条に「遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。」と規定されているように、遺言執行者には強い権限が与えられています。

例えば、遺言執行者は、次のような行為を行うことができます。
遺言書の検認、遺贈、貸金庫の解錠・解約・取り出し、預貯金の払い戻し・分配、不動産の登記手続き、株式の名義変更、自動車の名義変更、保険金受取人の変更、子の認知、相続人の廃除など。

遺言執行者でなければできないこと

上記に「遺言執行者ができること」を記載しましたが、「遺言執行者にしかできないこと」もあります。

それは、子の認知と相続人の廃除です。この2つの手続きは遺言執行者でなければ行うことはできません。

逆にいうと、子の認知と相続人の廃除以外のことは遺言執行者がいなくても手続きを行うことは可能です。

もっとも、法定相続人以外に対する不動産の遺贈の場合には、登記義務者である相続人全員が登記申請に協力してくれなければ、登記名義を変更することができません。
また、金融機関の中には、遺言執行者がいない場合には、相続人全員の署名押印がなければ払い戻しに応じないところありますので注意が必要です。

遺言執行者の選任方法

遺言執行者の選任方法は、以下の3つがあります。

①被相続人が遺言書で指定する
これが最もシンプルな方法です。遺言執行者になってほしい人の住所と氏名を遺言書に書いておきます。

②被相続人が遺言書で指定した人が決める
遺言者が遺言書の中で「遺言執行者を指定する人」を記載して、その人に遺言執行者を決めてもらう方法です。迂遠な方法なのであまり使われていません。

③家庭裁判所に決めてもらう
遺言書で遺言執行者が指定されていない場合や、遺言執行者として指定された人が遺言執行者に就任することを断った場合などに採られる方法です。

まとめ

遺言執行者とは、遺言の内容を実現するための手続きを行う人です。

遺言執行者は、遺言の内容を相続人に通知するとともに、財産目録を作成して相続人に交付しなければなりません。

遺言執行者は、遺言書の検認、遺贈、貸金庫の解錠・解約・取り出し、預貯金の払い戻し・分配、不動産の登記手続き、株式の名義変更、自動車の名義変更、保険金受取人の変更、子の認知、相続人の廃除などを行うことができます。

子の認知と相続人の廃除の手続きは遺言執行者以外が行うことはできません。

遺言執行者の選任方法は、遺言書で指定する方法と家庭裁判所に選任してもらう方法があります。

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