今回は遺贈の放棄について解説します。
遺贈とは、遺言書で特定の人(受遺者)に対して無償で財産を譲る行為のことをいいます。
遺贈には包括遺贈と特定遺贈があります。
包括遺贈とは、相続財産の全部又は一定の割合を特定の人(受遺者)に遺贈することをいいます。
包括遺贈の場合、被相続人に属した権利のみならず義務も含めて受遺者に承継されます。
特定遺贈とは、遺言者が相続財産のうち特定の財産を具体的に特定したうえで、特定の人(受遺者)に対して無償で与える遺贈のことです。
特定遺贈の場合、受遺者が被相続人の義務を承継することはありません。
包括遺贈の受遺者は、相続の放棄・承認に関する規定が適用されることから(民法990条)、自己のために包括遺贈があることを知ったときから3か月以内に家庭裁判所に申述する方法により遺贈の放棄を行う必要があります(民法938条、915条)。
特定遺贈の放棄について期限はありません(民法986条1項)。
特定遺贈の放棄は相続人又は遺言執行者に対する意思表示によって行います。
意思表示の方法については制限がありませんので口頭でも可能ですが、証拠を残すためには書面(できれば内容証明郵便)で行うのがいいでしょう。
上記のとおり特定遺贈の放棄について期限はないので、受遺者がいつまで経っても意思表示をしない場合は困ります。
そこで、法は相続人等に催告権を与えています。
すなわち、遺贈を履行する義務を負う者やその他の利害関係者は、受遺者に対して、相当の期間を定めて遺贈を承認するか放棄するかを決めるように催告することができます。
催告を受けた受遺者がその期間内に意思表示をしない場合は遺贈を承認したとみなされます(民法987条)。
遺贈には包括遺贈と特定遺贈があります。
包括遺贈を放棄するには、自己のために包括遺贈があることを知ったときから3か月以内に家庭裁判所に申述する方法により遺贈の放棄を行う必要があります。
特定遺贈を放棄するには、相続人又は遺言執行者に対する意思表示によって行います。
特定遺贈の放棄に期限はありませんが、相続人等は受遺者に対して、特定遺贈を承認するか放棄するかを決めるように催告することができます。