相続というと範囲は広いのですが、今回は全般的なことを書きたいと思います。
相続とは、平たく言えば、財産などの権利義務を承継することです。
相続には、大きく分けると遺言がある場合とない場合があります。
遺言がある場合は基本的に遺言に従って相続財産を分けます。
ただし、相続人の全員が合意すれば遺言に従わない分け方も可能です。
また、「遺留分」といって、相続人に一定の権利を留保する制度があります。これは遺言どおりにならないという意味で一種の遺言の例外と言えます。「遺留分」は非常にややこしいですので、今回は省略します。
遺言がない場合は、「法定相続人」が話し合って分け方を決めます。「法定相続人」が誰かというと、民法で細かく規定されています。一般的には、配偶者とか子供などです。
この場合、遺産を分ける基準として「法定相続分」という法律で定められた割合がありますが、必ずしもこの割合どおりに分ける必要はありません。相続人同士で話し合いがまとまったのなら、どのような分け方でもいいのです。
しかし、話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所で調停や審判をする必要があります。
この場合には「法定相続分」が重要な意味を持ってきます。裁判所が判断するときには基本的に「法定相続分」どおりに分けます(もちろん、話し合いのときに「法定相続分」を基準に分けるケースも多いです)。
相続の対象となるものは「一切の権利義務」(民法896条)です。
ですから、現金、預金、不動産、動産、株式、社債、債権などさまざまなものが含まれます。
また、借金などの負債(マイナスの財産)も相続の対象です。
仮にマイナスの財産ばかりという場合でも、何もしなければマイナスの財産を相続してしまいます。
このような場合は「相続放棄」の手続きを採るべきです。「相続放棄」をすればマイナスの財産を相続することはありません。
ただし、「相続放棄」は全ての財産(ブラスもマイナスも)を放棄することになりますのでご注意下さい。「ブラスの財産だけ相続し、マイナスの財産は相続しない」という都合のいいことはできません。
相続財産の分け方で揉めた場合やマイナスの財産があり困った場合などには、弁護士などの法律専門家にご相談下さい。
もっとも、できることなら相続で揉めたくはないですよね。
揉めた場合だけでなく揉めないためにも、相続の一般論について専門家に説明を聞いておくことは有用かと思います。